当コンテストは、なかなかグランプリが出ないコンテストというイメージがあるかと存じます。主催者としては、グランプリが出た方が、盛り上がってよいのですが。
例年グランプリがなかなか出ない理由は2つあります。まずは、第9回グランプリのロマのフ比嘉さん、及び第12回グランプリの新海誠さんが、当時かなり群を抜いていたこともあって、“グランプリは飛び抜けた作品”というイメージができてしまいました。審査員の中には、最初から“ちょっとやそっとではグランプリに推すつもりはない”と公言される方も。
しかし、どんどん全体的な底上げが進む中、圧倒的に群を抜いた作品など、とんでもなく難しくなっています。
また、比嘉さんのグランプリ受賞作は、「ONEDAY,SAMEGIRL」であって「URDA」ではありません。新海さんの受賞作は「彼女と彼女の猫」であって「ほしのこえ」ではありません。つまり、過去のグランプリ受賞者がその後大きく活躍されるのに伴い、当コンテストのグランプリが神話化(?)されてしまった感があります(笑)。
ということで、過度の期待は、当方にとっても、また今回グランプリを受賞した木霊さんにとっても、重荷です。(笑)
もう一つの理由は、例年なぜかグランプリ候補が2作品となり、審査員がちょうど半数に割れてしまうのです。上記のように、多くの審査員が“グランプリは飛び抜けた作品”といっている中で、ほとんど集計誤差程度の差がない状況では、グランプリを出せません。
今年も、審査の早い段階で、グランプリの候補は、「MY HOME」と「夏と空と僕らの未来」の2つに絞られました。この2作品がかなりもつれて、今年もグランプリは出せないかと思いましたが、後半徐々に差がついてきました。
最終的に、審査員の中で支持を変更する方も出てきて、明かな差がついたことで、「MY HOME」をグランプリとさせて頂きました。
インパクトや派手さには欠けますが、何度見てもしみじみと心に広がるすばらしい作品かと存じます。
○賞・佳作