第20回CGAコンテスト審査結果

■審査詳細

 さすがに20年も審査をしていると、予選の段階である程度結果が見えてくるもので、昨年などは、入選するだろうと予想した作品は「真実の口さん」を除いて全て入選しました。
 ところが、今回は予選の結果と最終結果が大きく異なり、かなり予想外の結果となりました。

 そもそも当コンテストでは、“パーソナルCGアニメの可能性を追求する”という趣旨で、意図的に様々な方向性の作品を少しずつピックアップしています。そのため、“純粋アート作品”と“一発ギャグ”を並べて評価することになり、どちらが上かを議論することにどれだけの意味があるのかという矛盾を抱えてしまいます。
 結局のところ、個々の審査員に委ねることになりますが、審査員の皆さんも各方面の専門家であり、それぞれ別の尺度で審査します。 “芸術性”や“独創性”を重視する方もいれば、“商品として通用するか”という視点で評価する方もいらっしゃいます。
 その結果、今年は各審査員の評価が例年以上にばらついてしまい、集計した結果も、“どの審査員の審査結果ともかなり異なっている”という状態になりました。ある審査員が賞に推薦した作品がボロボロと選外に落ちてしまったり。DoGAの予選で入選が確実視されていた作品もかなり落ちました。(外伝大賞になった「胃の三太郎」とか(笑)。そういった作品の多くは、外伝に収録しましたので、ぜひそちらもご覧ください。)

 もっとも評価がばらつくことは例年ある程度予想されており、審査時には、単なる得点評価だけでなく、賞やグランプリへの推薦という評価方法も取り入れています。そして、上位入賞については、推薦者数を重視して最終的な審査結果をまとめていました。
 ところが、今年の場合、その賞への推薦自体がばらついてしまい、あまり意味が無くなってしまいました。
 ということで今回の審査では、賞への推薦はあまり考慮せず、単純に採点結果の集計で、上から順に決めていきました。

採点結果(100点満点に換算)
		78点	「Ascension」(映像賞)
		78点	「パペと少年」(アニメーション賞)

		72点	「HOW TO COOK BREAKFAST?」(佳作)

		69点	「trip」(佳作)
		69点	「Paper Play」(佳作)
		69点	「まひる・ぷれでぃくしょん」(佳作)

		66点	「彼らは、」
		63点	「雲の人 雨の人」
		63点	「アメリカ大統領アメリちゃん」
		62点	「Jack in the Box」
		62点	「Abnormal Weather」

		以下略
 

○グランプリ

 今回の場合、最初から票が割れており、グランプリの候補となる作品も特に出ない状態でした。

 以上の結果から、グランプリは該当作品無しとなりました。

○賞・佳作

 賞や佳作は、単純に採点結果の上位から決めました。ちょっと点差が開いたところで区切ってます。

 ただ、「HOW TO COOK BREAKFAST?」については、賞とすべきか佳作とすべきか少し悩みました。作品のクオリティ的には、入賞でも良かったのですが、意外と賞推薦者が少なかったので、佳作とさせて頂きました。

○初心者部門

 何しろ今回の初心者部門の応募は333本もあり、自然とレベルもアップして、今までの初心者部門とは一線を画すものとなりました。そこで、審査の方針からもう一度よく考えてみました。
 初心者部門の目的からいうと、“将来性のある人を選びたい”。もう少し具体的に言えば、“来年、一般部門に応募してくれたら一番うれしいのは誰か?”ということをまず念頭に置きました。

 その際、一番重要なポイントは、映像クリエイタとして“表現したいモノを持っているか。表現しようと努力しているか?”という点です。たとえ、今の段階で稚拙でも、いいので。
 逆に言えば、“学校で、課題で言われたので、とりあえず作りました”と感じる作品をまず最初に落としました。

 二番目に重視したのは、映像センスです。具体的には、カメラワークにカットのつなぎ、タイミングなど。それから、画面構成力や色彩センスにも注目しました。
 他には、ストーリー。これにはアイデアも含まれますし、起承転結、特に作品としてオチをつけてまとめられるかという点です。(別にギャグでなくてもよい)
 最後に人体のアクション。自然でかっこいいアクションだと点数を上げました。

 なお、初心者部門の募集要項に“モデリングの善し悪しは審査の対象としない”と記したので、モデリング力についてはほとんど無視しました。
 ただ、このモデリング無視というのは、“初心者なのでモデリングがちゃんとできないというような人でも応募してね”という意味合いがあったのですが、今年のレベルはそういったところを遙かに越えています。ですから、次回の初心者部門については、モデリングを特に除外することは無くそうと思います。

 このように、テーマ性、映像センス、ストーリー、アクションという4項目に置いて審査した結果、さすがに満点の作品はありませんでした。しかし、それに近い作品もありましたし、入選した作品はどれか1項目は満たしているはずです。
 「木のみたユメ」や「哀歌-elegy-」には表現したいモノがあり、将来性を感じましたし、「B180 with G」の動きや映像は気持ちよかった。

 初心者部門賞については、「camouflage」がダントツに優れていたという訳ではありませんが、アイデアは効いており、総合的な完成度は高かったです。「風船」もよい作品ですが、さすがに類似作品が多いので。