第22回CGAコンテスト審査結果

■一般部門 審査詳細

 今年の審査結果の特徴は、“差がほとんどない”ということです。全体のクオリティはかなり高いので、“粒が揃っている”と言う方が的確かもしれません。

 例年、審査員は各方面の専門家を集めています。ですから、各審査員の視点が異なるため、採点結果が大きく異なり、その採点結果を合計すると、どの作品も似たような点数になって差が付かない…ということが、過去何度かありました。

 しかしながら、今年の場合、各審査員の採点結果自体、どの作品も同じような点数になっており、ほとんど差がついていません。ですから今年の場合、単純に“差が無かった”ということで問題ないと思います。

 応募者の皆さんは、入賞、入選、選外といった審査結果を非常に気にされるのですが、審査員の目からすると、少なくとも本審査に残った作品については、あまり大きな違いがあるようには見えません。(本審査に残らなかった作品には、かなり差がありましたが)

 実際、選外になった作品の中にも、入選どころか、賞に推された作品もいくつかありました。そもそも、本審査に残った作品は、皆レベルが高く、例年だったら、入選はもちろん、佳作ぐらいになってもおかしくない作品ばかりだったと言えます。

 そのような状況のため、本審査では、一人で2作品応募されている方や、作風や方向性が似ている作品は、“どちらか一方に絞ろう”という心理が働いたように感じられます。

 そういった、“例年だと確実に入選していただろう作品”の何本かは、外伝に収録しました。かなり見応えのある作品もありますので、ぜひご覧下さい。

 なお、上記のように、今年は優れた作品が多かったため、入選作品の量(総尺)を若干多くしました。また、外伝も一緒に収録するために入選作品集DVDを2層化しました。

 さて入賞等ですが、グランプリについてはほとんどの審査員の方が、“突出した作品はないので、グランプリは無し”という判断でした。また他の審査員もグランプリに推薦する作品がすべて異なっていました。ですから、グランプリに関する議論はまったくなく、早々に“該当作品なし”となりました。

■採点結果(100点満点)

81.4点 「セピア色のとけい」
81.3点 「The Light of Life」
80.8点 「フミコの告白」
76.6点 「ひとりだけの部屋」
76.4点 「ロックンロールインマイベッド」 
74.9点 「フルーティー侍」
74.8点 「眼鏡」
74.7点 「毒忍者ちゃん」
74.3点 「Nirvana」
71.2点 「WILDERNESS」
69.9点 「Googuri Googuri」

 賞や佳作は、単純に採点結果の上位から決めました。

 上記のグラフのように、上位作品が3群に分かれています。そこで、80点台の3作品を入賞、70点台後半の2作品を佳作としました。

 「フルーティー侍」〜「Nirvana」も佳作にするという案もありましたが、入選17作品の過半数(9作品)が入賞・佳作ということになり、多すぎると判断しました。

 ちなみに、入選作品の最低点は、68.2点でした。入選と選外のボーダーライン上に、作品が密集していたことがご想像頂けるかと思います。

◆一般部門 総評

 以下、審査員の方々の総評を抜粋しました。(順不同)

■初心者部門 総評

 前回(第21回)から、初心者部門の応募が、激減しました。これは、前回から応募〆切が、2月14日から7月末に変更されたため、CG系専門学校等から、まとめて卒業制作作品を応募するということが無くなったためと思われます。

 応募総数が少ないと、自然とよい作品も減り、今回初心者部門の入選は、9作品に留まりました。

 やはり、初心者部門とはいえ、作品の体をなしていないもの、形にはなっていても何のアイデアや工夫もないものは、入選できません。

■初心者部門賞について

 「初心者部門賞」については、最初から、「holiday!」、「KONPON!」、「なつのくに」の3作品に絞れていました。

 「holiday!」、「KONPON!」は、完成度が高く、技術的にも優れており、すぐプロとして通用するレベルにあるでしょう。特に「KONPON!」はすばらしく、デザインや色のセンスは、一般部門でも通用しそうです。

 その点「なつのくに」は、完成度が低く、習作の域を出ていない面もあります。しかし、クリエイターとして、“自分なりに表現したいモノを持っているか”、“それを自分なりに工夫して表現しようとしているか”という点で、他の2作を上回っていました。

 もっと、わかりやすい言い方をすると、“これらの作品の作者が、来年一般部門に応募してきたとしたら、どの作品を見て見たいか?”と聞かれれば、それは「なつのくに」なのです。

 初心者部門の目的は、将来性のある優秀な人材を発掘することでもあります。