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31歳男の焦燥感と絶望感



作者:燈鍛 (ホームページ)
使用ソフト DOGA-L3
その他使用ソフト メタセコ
作品解説 俺は何をしてるのだろうか?
作業をしながら呆然と成る…

焦燥感と絶望感
31歳という文字が襲いかかってくる恐怖
俺の中の2人が闘争する

俺A:「今更CGクリエイターに成りたいのか?」
俺B:「いや、そういう訳ではない…」
俺A:「見ろ、無様なモデリングを! しかし貴様は知ってるハズだ!
    貴様の2次元絵の修行は10年の歳月を必要としたと云うことを!
    修行の姿勢に問題があったとして、正味実際5年と見積もろうじゃないか
    じゃぁこれからCGを5年も修行するのか? 生きていれば36歳だぞ!」
俺B:「そんな事は分かっている!!」
俺A:「30歳越えといえば、クリエーターが引退する時間だ!
    諸々理由はあるけれど、貴様の体が、既に警告を発しているだろう!
    2次元絵ですら、まともに描けないほど衰弱しているではないか!
    魂も!肉体も!!
    だが貴様はまだ良い、生きている…。
    30を越えて絶命したクリエイター達の名前、自分で列挙してみろ!
    栄養失調、心不全、脳梗塞、不安定な生活が体に害を与え
    限界点を突破して絶命する!! そういう世界だろう!?
    何より貴様は、現実デバイスのクリエイター!!
    現実のデバイスクリエイトで、魂にも肉体にも傷を負って
    更に、メディアクリエイトの世界でまた傷を負うという…、バカか!?」
俺B:「そんな事は分かっている!! 
    一緒にお絵描きチャットで絵を描いていた人も死んだ!!
    肉体の方で血は何もまだ小言を言ってこないが、
    俺もそろそろ俺が安全でない時間に踏み込んだ事は分かっている!」
俺A:「何が不満だ!? いいじゃないか! 理学博士ではなかったが
    工学博士で、求めた理科の道の、ある一定以上の世界を見ることが出来た
    それが最大の望みで、挙げ句にそこそこの高給取りで生きていれるんだろう?
    本当に求めた宇宙方程式を解く世界は、
    最早、理数の力を博士レベルまで修行したお前ですら、
    『何書いてるかさっぱりわからん』ぐらいスペースファンタジーの一歩手前だ!!
    それを偏微分方程式を解いて結論しているから、尚更、質が悪い!!
    『そう生きていかなければ、そうなれない』というのが『その道の博士』だ
    それが分かっただけでいいじゃないか… 体に傷を負った代償として…」
俺B:「そんな事は分かっている!! だが、抵抗だ!! あえて抵抗だ!!
    精神科の主治医は言う。
    『リズムを保ち、無理をせず、夜更かしせずに早寝、朝起きて運動をし
     毎日の仕事をキッチリこなして、健全な生活をしなさい』
    ごもっともな意見だ! 
    しかし、俺は、アレか? 働くロボットマシーンか何かか!?
    こんな、光る石っころ一つ、蛍光灯から変えられず、
    老害共の抵抗勢力で何も進まず、
    挙げ句の果てに俺だけじゃない若者全てが研究職のポストも無くされ、
    30歳でフリーター寸前…
    馬鹿言ってるんじゃねぇっ!!!!!」
俺A:「なら尚更こんな事してる場合じゃねぇだろう!?
    論文を沢山書いて、業績を『数』で積み重ねて、無くなっていくポストに
    一生懸命しがみつくのが真っ当な人間の姿じゃないのか!?
    CGモデリングして現実逃避している場合じゃねぇだろうっ!?」
俺B:「現実逃避だ! 現実逃避さっ!!そんな事は分かっている!!
    だが、だったら何が現実だ!? このくそったれな束縛だけの世界か!?
    これが現実か!? 束縛されるだけが現実だというのか!?
    だったら、俺は、いったい、何時になったら
    束縛される事から解放されるんだ!!」
俺A:「何だと!?」
俺B:「高校では、親に理学の道も芸術の道も阻まれ、
    『職人の息子は工学以外認めない』と言われ、工学部にねじれ精神で入り
    大学では、貧困と目の前に次から次へと現れるレポートと格闘し
    大学院では気のふれた業界の人間達に『ちょっと待った』をかけなければならず
    号取得後のようやく手に入れた『本当の自由』の時間さえ、
    身につけた学位のしがらみで、8割以上を下らない時間に奪われる!!
    生産性があるなら、それでも我慢もしよう…
    だが、今のこのデタラメな世界の、老人の尻ぬぐいの為の仕事をしていれば
    前に世の中が前進するというのか!? LEDは天井に付くのか!?
    こんな尻ぬぐいをして、挙げ句にポストも奪われて
    老人のために若者が死んでくれという世界を笑えというのか!?
    ふざけんじゃねぇ!! アホ言うなっ!!
    だが、良いだろう、笑ってやるさっ!!! もう笑うしかないっ!!
    笑うしかもうやることがないっ!!!!
    死ねというなら死んでやる!! だが、ならば叫ばせろっ!!
    『俺をもう拘束するなっ!!』
    『あれをしなさい、これをしなさい』と言われ、従順に従って
    アダルトチルドレンとして生きてきた30年後の結果が
    こんな有様だっていうのなら、絶望に向かって無様を投げつける事も
    自分で自分を許してやることが出来るっ!!
    叫ばせろ!! 
    何故、俺は仲間だったかもしれない人が『一緒にやらないか?』と
    手を差し伸べてくれた時に、その手を取ることが出来ず
    何故、俺は共にペンを走らせて絵を描くという喜びを
    笑った者と一緒に死んでやれず
    ただ一人、我一人、欲しいときには手に入らなかった力で
    こんな歳になって無意味なSFの話を綴ろうとしている!?
    何故、俺の愛したスペースファンタジーもサイエンスフィクションも死に絶え
    萌えだとか萌えだとか萌えだとか萌だとか
    日常という緩慢な世界で甘美な夢を綴る人々を
    『仲間』だと言わなければならない!?
    『同じヲタクでしょ!?』
    違う!! ふざけんなっ! 
    彼らこそ、俺の愛したモノを殺した人々だ!!!!
    その彼らにっ! 萌えだとか萌えだとか萌えだとか、
    いつの間にか草冠に明るいという変な字が付いた可愛いを回りくどく言う奴らに
    萌だとか萌えだとか萌えだとかいうヘタクソな俺の絵を提供する事だけが
    俺に残された2次元絵修行の技術の使い先だというのかっ!?
    ふざけるんじゃねぇっ!!!
    だったら俺は、高校の頃、バーチャファイター2で衝撃を受け、
    一生懸命、勉強した投影投射法と心中するっ!!!」
俺A:「馬鹿か俺っ!! 現実を見ろ現実をっ!!!」

そんな内在闘争を続けていても、無様なモデリングは変わりようがない…

何かを得るという事は、何かを失う(得られない)という事なのだろうか?
仮説は出たが、結論は出したくない。
投稿日 2008年01月27日21時29分



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