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企画発表おめでとうございます!!
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#20   2005/03/19(土) 12:13   投稿者: 辛口御免

 強い光はより暗い影を作るものです。より強い光を放てるよう、制作スタッフ他、関係者の皆さん、是非頑張って企画を成功に導いて下さい。微力ながら草葉の陰から応援しています。

以下とある発言への私なりの見方(意見)です。

 既存の原作を利用しているのは、販売や興行のやり易さを考えた場合に、良い意味で無難な選択だと思います。「風の谷のナウシカ」ですら、映画化に際してまず原作漫画で展開してからのスクリーン上映に至った経緯がありますし、これは事前のプロモーションを兼ねた手法だと思います。つまり一般の人へとっつきやすさや期待感を提供する順当な方法です。オリジナル脚本を土台に成功するには、それなりの作品力が求められますし、誰も知らないストーリーを説明する中でネタバレしていく可能性も否定できず(他で先に翻案され映像化されてしまう何て事は日常茶飯事です)、第一弾として魅力的な原作を土台とする事に諸々の意味を込めて私は賛成です。

 映像面については、GONZOやSTUDIO4℃、神風動画といった新興アニメ企業のずば抜けたレベルと比べるのは未だ時期尚早かと思います。ただ、金を払って見る・買うものに対して、そんな言い訳は通用しない、という事も現実社会の評価としてあるのも事実です。その点は今後の大きな課題としてクリアしていくべきでしょう。しかし、数名でフルCGのアニメーションを、しかも劇場公開用の長編を作り上げるという「実績作り」を行う事の見えない重要性に目を向けて欲しいと私は思います。

 目を見張るような緻密で精細に描かれたCGを描ける人材は、個人作家の中にも数多くいます。ただ、そんな彼らの仕事はアニメ制作会社の下請けであったり、単なる外部スタッフ等に過ぎなかったりします。唯一の成功例は「ほしのこえ」の新海氏だけと言っても過言ではないでしょう。で、それでよいのでしょうか?後に続く者達が出てこなければ、この制作手法そのものが消えていってしまいます。しかも、新海氏の作品とて、未だ世間では知らない人達の方が圧倒的に多いのが現状です。それでいいのでしょうか?

 ここで少し時間をさかのぼり、かつて同じような道を辿った音楽業界の話をしたいと思います。20世紀半ば過ぎまで、楽曲制作は作曲家・編曲家・演奏家・興行師らによる大掛かりなプロジェクトとして行われていました。ところが、コンピューターとシンセサイザーの登場によって、一個人でも才能さえあれば全ての工程をまかなえるようになったのです。作曲し、編曲し、演奏し、録音し、自らの楽曲をインターネットを通じて全世界に宣伝・販売する事すら可能になっています。それと同じ事が今、映像業界、特にCGアニメーションの業界において起ころうとしています。

 現状ではまだ黎明期にあり、ツールや人材も充分ではありません。ごく一部の突出した才能が芽生え始めている段階に過ぎないかもしれません。しかし、テクノロジーは確実に進歩し、CG制作環境は、かつて音楽業界が体験した技術革新を迎えつつある時代に差し掛かっています。恐らく64ビットのCPUとOSが普及し、それを十分に生かしたツールが出現すれば、膨大な容量に変貌しつつあるハードディスクに、今までは考えられなかったようなクオリティのCGアニメーション作品が書き出され、公開・販売される日が必ずやって来るでしょう。

 ただ、それを単に座して待っているだけでは、テクノロジーは進歩しません。時代を象徴するような魅力的な作品や実績を残す人々(クリエイター)が現れなければ、そうしたツールの開発は行われないからです。そこで必要とされるのは商業的に成功した、という実績作りであり、クオリティの更なる向上であり、日々たゆまないあらゆる作品制作への努力と発表に他なりません。可能性があれば、最大限それを活かしてチャレンジし続ける事が、更なる飛躍を生むのです。何も起きていない場所では何も生まれないと言い換えても良いでしょう。

 これらをかつて乗り越えた実績をもつのが、現在の音楽業界です。今では殆どの人がコンピューターによる「打ち込み」であると気付かずにそれらの音楽を聴き、楽しんでいます。音楽に出来た事が映像には出来ない、そんな事があるでしょうか?答えは「否」です。

 こうした今の状況を見越して活動を続けてきたDoGAの先見性、それに応えるように作品を発表してきた個人CG作家の人々。次の時代を切り開く可能性へ挑戦する全ての人達を私は強く支持します。又、他の方にも支持して欲しいと思っています。

 だからこそ、現在目に見えている事だけではなく、その活動が意味する重要性にも目を向けて欲しいと私は思うのです。物事を短絡的に捉える事しか出来ない方々が増えている現代社会ではありますが、次代を担う活動の意味と意義を理解しなければ、いずれ世の中は停滞し、無味乾燥で刺激を求めるだけの低俗な文化・文明しか生まれなくなってしまうでしょう(既にそうなりつつあります)。単に娯楽や文化を享受するだけではなく、制作の為の活動を支援し、
見守る、或いは積極的に自ら参加する事こそが、様々な価値観と文化・文明の創出につながり、人類社会全体の豊かさにつながるのです。

 否定や批判が生み出すものは「虚無」でしかありえません。又、否定する事には何の能力も技術も才能も必要ありません。それは最も安易でレベルの低い結論の出し方です。否定してしまえば、対象について何も思考する必要がなく、否定する事で自らの価値観において、対象を自分自身の中で下に位置付ける事が出来るからです。そして否定する人々は概して他人を支配し、搾取し、貪る事にのみ関心を払い、何かを生み出す事に殆ど寄与していません。

 一方、新しくものを生み出す者、そしてそれを楽しむ者、そのいずれかであると自覚している人々は、互いに何かを生み出す事、作り出す事に最大の関心を払って、あるいはその為に行動しています。

 是非、物事の裏に隠れている意義や重要性を見つける目を持って下さい。そしてそれを支える意識と意義を共有して下さい。
このページのURLは http://doga.jp/tkbbs/tkbbs.cgi?bbs=tankswat&number=20 です
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