昔、前田真三氏(写真家)の写真集を見て、
いつかこんな丘を撮影したいと思ってた。

 グーグルアースでポーランドを見ると、
国土のほとんどが畑。しかも、
日本の田んぼが四角いのに対して、
ポーランドの畑は短冊状に程長い。

ということで、しましま模様の丘が
どこまでも続くような景色を期待していた。

 ということで、今回の撮影目標は「丘」。

 しかし、そうは問屋が卸さない。

 まず、意外と畑がない。というか、
ちょっと郊外に出ると畑と森なのだが、
休耕しているのか、雑草が生い茂っている。

 聞くところによると、ウクライナ近くの
土が肥えている地域を除くと、
採算がとれずに農業を辞めてしまう
ケースが急増しているとか。
その辺は日本と同じらしい。

 また、ポーランドの大部分はまったく
凹凸のない平地。いくら畑が続いても、
視線レベルの高さでは遠くが見えない。
脚立でもあれば絵になるのかもしれないが。

 そこで、レンタカーを借りて、山に近い南東部を
探してみるが、畑が続く丘はなかなか見つからない。

そもそも、休耕するぐらい土地がたくさん
余っているぐらいだから、わざわざ丘の上まで
切り開いて畑にする必要がない。
丘になっているところは大概森になっている。
(ちなみに森は、赤松を中心とした
雑木林で、全然美しくない。)

 現地の方のお勧めなどを聞いて、なんとか
丘を見つけるが、さて撮影を始めると「丘」を
撮るのは非常に難しいことを痛感する。

 まず、写真では遠近感が乏しいので、
坂が平地のように見えてしまう。

 次に、遠くから見ると丘に見えても、
近づくとだんだん坂になってくる。
説明しにくいが、自分の足下が上り坂になると、
写真ではそれが水平のように見え、
さらに見える範囲も狭くなって、
丘が丘のように見えなくなるのだ。

 やっぱり、前田先生は偉大だった。


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