「塔の向こう」(仮)提案資料他

グロースターターの解説

・蛍光灯は、その両端に電極があり、その間はほぼ真空(水銀などが入っている)になっている。

 つまり、「+極」と「?極」はつながっていない。

・その両端にある一定以上の電圧をかけると、電極間の放電(小さな雷)が始まり、電子の流れができる(=電流が流れる)。

・蛍光灯のガラス(回路図では水色の部分)の内側には、蛍光体が塗ってあり、これに電子がぶつかると光る。よって、蛍光灯に電圧をかけると光る。

(厳密に言えば、電子がまず水銀原子にあたり、紫外線を出す。この紫外線が蛍光体にあたると光る。)

グロースターター回路とは、最初の放電を起こすために、瞬間的に電圧の高い状態を作るための回路。

(左図では、蛍光灯より右側の部分)
 

初期状態

グローON

まず、蛍光灯と並列に、電流が通る道を用意してやる。

(緑の点線は、電流の流れ)
 

グローOFF


そして、スイッチ等によって、この電流が通っていた道を、ブッといきなり切断する。

すると、いままで流れていた電子達は、行き場を失って、一瞬電圧が高い状態になる。

放電開始


その行き場を失った、高圧の電子達が、仕方が無く蛍光灯の方を通る。

安定点灯

OFFスイッチ

いったんOFFスイッチを押すと、回路は途切れ、
電流が流れなくなる。

すると、OFFスイッチをはなしても、そのまま
消えたまま。

初期状態に戻る。


 
 
 
 
 

主人公の飛行機

・デザイン性はお任せして、航空力学的裏付けを考えてみた。

・条件は以下の通り。

・主人公が自分で制作する手作り飛行機である。

・エンジンは、中古車などから流用する。

・地上からの離陸時には、ブースター等の補助推進装置を使う。

・少ない燃料や弱いエンジンで、約400Km、高度6000mまで飛べないといけない。

・二人乗り

・特徴は以下の3つ
・主翼は円形翼とする。

・プロペラは超大半径とする。

・多少変形する。

・全体のイメージとしては、手作り感が多少なりともある鳥人間コンテストの飛行機。

・この世界には、軽くて、硬くて、柔軟性もあり、そして加工もしやすいというすばらしい素材があるものとする。
 

●円形翼

・円形翼は、上から見て円形ではなく、前から見て円形。

 この円形翼の飛行機は実在するハズだが、Webで検索しても見つからなかった。
 勘違いか、ものすごく少ないか、円形翼という名前ではないのかも。

・円形翼のメリットは、翼端が無いために、翼端からの波や渦が出ず、効率がよいこと。

 しかし、この飛行機の場合、主翼の翼端を無くしたところで、他に渦が出そうなところがたくさんあるだろうから、現実的には無意味。
 単に、視覚的に面白そうというだけ。

 また、円形翼は制御が難しいというデメリットもある。

・円形翼は、上記のように翼端がないというのが最大の特徴なので、正しい円である必要性は無い(ハズ)。

 左のサンプルでは、やや横に長い楕円にしてみた。

●尾翼

・後方に長く伸びる尾翼は、姿勢制御が目的。
 ある程度長いほうが、安定性がよく、制御がしやすい。しかし、長すぎると、離陸時などにジャマになる。

・本体部から尾翼までは、機械的には何もなく、タダ単に棒でもよい。(後部にモーターがあり、制御信号を送るコードだけが付いている)

●エンジン

・エンジンは、別の理由(軍事的考察)からバスのディーゼルエンジンを使うものとする。

・重いので、主翼の近くに置くべき。この例では、主翼の前に、エンジンとコックピットが置かれているが、これでは前がおもすぎるなぁ。エンジンは、主翼のすぐ後ろがよいかも。

●プロペラ

・低出力エンジンで、高い推進力を得るために、超大半径プロペラを使う。

・この場合、プロペラは高速回転する必要がない。ゆっくり回転する。(プロペラの端が音速を超えてはいけない)

・回転のモーメントをなくすため、双発の逆回転をしなければいけない。

・離着陸時には、このプロペラが地面にすれるなど、ジャマになるので、翼型に変形する。(後述)

・本当は、プロペラのねじり角度は、根もとから端にかけて、どんどん変わっていくべきだが、そんな複雑な変形は手作りでは無理なので、単一ねじり角度となる。

 


プロペラ展開ギミック(断面図)
・離陸、着陸時には、空気抵抗を極力減らすために、翼型になっている。
(しかし、上下対象形のため、翼として揚力を得ることはできない。)

・展開時には、まず、前後に2つに分離する。このとき、分離面は
垂直ではなく、斜めになる。(この方が、プロペラとしての性能が
ずっとよくなる。)

・次に、適当なねじり角度に回転する。
(このとき、後ろのプロペラは、90度以上回転することになる。)

・そして前後逆回転をする。でも、この展開ギミック中、推進力も
なく、空気抵抗も大きいから、一瞬失速状態になる。怖い。
 
 


・プロペラの端の方が、空気抵抗を大きくうけ、同時に推進力も強い。よって、回転時にプロペラはある程度たわむと思われる。(超大半径だし)

・上記の図より、前後方向のたわみが大きいかも。
 

断面図に対する考察
 
・並列副座はあり得ません。空気抵抗を増やすだけです。

・上記のCGでは、コックピットのデザインはいい加減ですが、翼端に発生する渦をいやがって円形翼にするぐらい抵抗を考えている人なら、コックピットや本体も当然翼断面形状にしますよねぇ。

・全体を翼断面形状にして、視界をよくするために、頭だけ飛び出すような形が基本でしょう。
 (飛行シーンでも、外から顔だけが見えている状態なので、描くのがちょっと楽かも)

・前後副座といっても、眠り姫は、椅子に座らせる必要はありませんので、後ろに寝かせるのが、一番空気抵抗を押さえられると思います。
 目が覚めている帰り道の乗り心地はさぞかし悪いでしょうが。

・ここまで抵抗の軽減や軽量化を考えているなら、エンジンは本体の一番前に取り付け、変形プロペラもエンジンに直結させて、本体の前に置くのが、懸命です。
 その分前が重たくなるので、コックピットを後ろに下げるとか。

・しかし、こうして理詰めで考えていくと、だんだんタダのプロペラ機に近づいてしまいます。
 


 
 

青森-室蘭の地図

・青森市役所-室蘭市役所間の直線距離 174km

・室蘭に1960mの以上の高さの塔を建てると、青森から見える。

・青森市から室蘭市方向(ほぼ真北でやや東)を見ると、右側から
下北半島が見える。

・途中にある山は、
 下北半島のアンド山 高さ646m 青森から47km =見える
 函館の駒ヶ岳 1131m 袴腰岳 1108m 等は見えない

 つまり、北海道の山の向こうに塔が見えるという設定は無理。というか、
青森から北海道は見えない。
 下北半島の山の向こうに塔が見えるという設定になる。

・塔がアンド山に隠れないためには、塔の高さは2880m以上必要。

・塔の高さが5000m以上になると、空気が薄すぎて、普通の人間は
活動が辛い。私も4200mまで登ったことがあるが、笑うだけで疲れた。
 

■結論:距離が遠すぎる
直線距離が174kmに対して、塔の高さが5kmでは、一応見えるが、
10m先の30cm物差し以下となり、見上げるような威圧感は全くない。

ちなみに、東京から富士山がだいたい100kmで高さが3776mだから
東京から富士山を見るよりも小さい。

■対応策:
1)距離を近くする
 主人公達を下北半島の先に住まわせる。大間町、大間岬付近。
 塔は、山の向こうだから、鹿部町ぐらい。
 これで塔までの距離は57km
 ただ、飛行機がかなり遅いとしても、飛行時間はかなり短くなる。

2)塔を高くする
 塔に触れさえすればよく、塔の頂上でなくてもよいという設定に
 する。これだと、塔の高さには制限がなくなる。
 しかし、例えば10kmにすると、もうイギリス行きの飛行機の高度に
 なるし、富士山の3倍の高さなんだから、人工建造物としての
 リアリティはどんどんなくなる。

3)いなおる
 「作品中では、塔は見上げるような高さですが、実際に
青森から見ても、こんな風には見えません。」で済ます。

 新海さんは、3)で済ますに1000点。