ルーチンと関数とライブラリとエンジンと
SIXSURFACEぷち制作実況(笑) 


たぶん3年くらい昔、DoGAではDOGA-L3の完成が間近でありました。
比較的初心者をターゲットにしているとはいえ、アニメーションも作れる3DCGシステム
であるL3もやはり巨大かつ複雑なシステムであり、バグ出しや機能チェックが結構大変なわけです。

さてこういうバグ出しというのは、実際に作品を作ってみて行うのが効率的で、かつ漏れも少ない。
当時コンテストのオープニングムービーという需要も存在したため、バグだしがてら
アニメーション作品を制作し、かつそれをオープニングに使おう、という一石二鳥的計画を採用したのです。

それが実際に13回CGアニメコンテストオープニングとなった「NaN」
http://doga.jp/dogal_gallery/gallery.cgi?action=show&id=20020618175557

と、長らく日の当たらなかった「SIXSURFACE」
http://doga.jp/dogal_gallery/gallery.cgi?action=show&id=20040126115740&class=B

という2本の短編としてなんとか形にはなったのです。

ここでは、「SIXSURFACE」の制作舞台裏でもぶってみようかと思います。


 

ファーストカット。このカットで影とか、明度オーバーで自動的にグロウが発生する
新レンダラーの機能チェックとか。
昼から夕方への変化は、MediaStudioのオーバーラップで編集段階で作ってます。

模様の雲テクスチャです。アルファー付きpng形式のテクスチャが機能するか、
また、モーションエディタ側の、「常にカメラ方向を向く」機能のテストでもあります。

レンズフレアと炎のモーションテクスチャのテスト。
初期段階では画面外のレンズフレアが間違って表示されるというバグをこのカットで
確認しました。しかし、バグった状態で作ったフレアも(このカットに関する限り)味があり
有る意味美しかったので、完成版にもそれを採用しようと思っていたのですが、
いつのまにやらそのムービーは失われ、レンダラーも新しい物に置き換わってしまい
再現不能になりました。残念。

six003.jpg

お馴染み、L3タイトル画像のカット。タイトル用には背景がもっと赤い空に差しかわっていたり、
効果線が入っていたり、飛行機の位置が変わっていたりと結構調整しました。
このあたりで多関節物体の基本的なテスト。物体切り替え機能が動作しないと言う問題が、
なかなかフィックスされず、このカットでは表情のアニメーションをあきらめてます。

この形は「その他2」の「O216」です。
このときのためだけに作られたようなパーツ(笑)

six005.jpg

この煙も実はおおむねL3で作ってます…というか作れます。多分。
ちょっと入り組むので、専用のページで解説。
煙の作り方

住民ロボットのお怒り記号は、懐かしのライン&ペイント風味。
しかし多分分かる人居ないだろうなあ。速いし。
ちなみにフレーム数も少ないのでこれは手描き。透明度用も
作ったりしてちょっと苦労。なにやってんだかなあ私。

ところで、このロボット、結局正面しか出てきませんでしたが、
裏も作っております。たとえば

これは後頭部ですが、

…無意味なディテールとか作るのは燃えます(笑)



降ってくる少年達は実は全てテクスチャです。シンプルなモデリングとはいえこんなに降ってきたら
レンダリングで血を見ます。そこでこんな動画テクスチャを作りました。、
こういう動画テクスチャ(実際は黒い部分は抜けてる連番アルファー付きpng)
強烈な光を当てて、ハイキーにしているのは、小さくなるし背景も暗いため
目立たせるためです。いくら自然でも映像の意図が伝わらなければ意味がないですから。

さてコレを貼った四角形を動かすなら、少年一人あたり1ポリゴンで済みます。
(遠景は数百人を一ポリゴンに貼ることも考えられますが、今回はそこまでやってません。)

この画像は、L3で連番画像を作成するとし、png形式を選択の上、αチャンネル情報を
出力するオプションをチェックして、作成しています。
なお、こういうことをする場合、背景は黒とかではなく「なし」にしておいてください。

ここで動画テクスチャが連番pngなのは、アルファー付きのaviを扱う方法がないから
です。連番画像を模様として使う場合は、パレットで画像を指定するとき、
ファイル名入力欄に a[1-30].png とかキーボードで入力します。
この場合a001.png からa030.pngの30枚が番号順の動画と見なされます。
アルファー付き動画テクスチャはイロイロ便利ですので覚えておいて損はないです。


次にコレを張り付けた正方形をたくさん散らした「群れ」をこんな風に作り、

これを画面を横切らせればいいわけです。これなら一つの「群れ」を動かすだけで無数の
少年が落ちてくるわけで、モーションエディタでの作業負荷が減ります。
(パレットがたくさんあるのは、動画テクスチャの位相をずらしているのです)

このカット、実際に動いているのは、雲の他は「群れ」が2〜3個といったところかな。
折角だから普通にやったらまずレンダリングできない数を降らせてみました。


各戸で上映され、透けて見える画像(左右反転しているはずだ、というツッコミはご勘弁)は
適当な過去作品から持ってきてもよかったのですが、今回は作ってみました。

内容は初期のCGAをイメージしてます。レトロCGテイストといいますか。
余り見えないのが残念ですが。

フラクタルと手描きのアニメーション以外は、基本的にこれまたL3で作りました。

ワイヤーフレームは拙作PoPaでコンテストロゴの形状ファイルを処理して作っています。
レイトレーシング風のチェッカーボードに三色の玉は今話題のレンダラーの新機能…
は実は使ってません(笑) 写り込みは、半透明のチェッカーボードの下に同じ
形状があるだけです。…でも結構ソレっぽいでしょ?


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