■審査詳細
さすがに19年も審査をしていると、二次審査の段階である程度結果が見えてくるものですが、今年は“困ったことになりそう”と感じました。
それは、僅差になりそうだというだけでなく、上位作品のほとんどが評価の分かれる作品だからです。審査をしても、絶賛する人とこき下ろす人が出て、その採点結果を合計すると、どの作品も同じような点数になって差が出ません。
このような状況では、下手をすると、ほとんど誰も絶賛しなくても安定してそこそこの点数を取った作品がグランプリになる可能性もあります
。
そこで今年は、本審査の集計方法を変えてみることにしました。
審査員の皆様には、まず各作品に10点満点(20段階)の点数を付けて頂くのとは別に、グランプリと賞の推薦を頂きます。これは例年同じです。
例年は、点数の合計をベースにして、賞の推薦は参考程度にして賞を決めていました。しかし今年は、点数によって入選と選外を決めるが、賞については点数は一切考慮せず、推薦の方だけで決めるという方法にしてみたのです。
つまり、数人が否定しようが、絶賛する人が多い作品を入賞させるというやり方です。
採点結果(100点満点に換算)
79点 「49」(作品賞) 71点 「空想少女」(佳作) 70点 「おはなしの花」(佳作) 69点 「nakedyouth」(映像賞) 66点 「放課後決闘クラブ」(エンターテインメント賞) 63点 「放課後、エメラルド」 61点 「Cherry age」 58点 「スペースネコシアター」 58点 「HONEY CAM」 56点 「LOST UTOPIA」 以下略
○グランプリ
グランプリについては、早い段階から「49」に絞られていました。実際、採点結果も「49」が群を抜いています。欠点がほとんど無く、ほぼ全員の審査員が高得点を付けました。
しかしながら、この作品をグランプリに推す方は、たった一人しかいませんでした。というより、各審査員が推したグランプリ作品は全部バラバラになってしまいました(“該当作品無し”を除く)。
審査員の方々は、アニメ、映像、シナリオなどの専門の方で、違う尺度で審査する以上、違う結果が出るのはある意味当然なのですが、さすがにこんなことは初めてです。そのぐらい僅差で、評価が分かれる作品が多かったということでしょう。
また今回は、先に述べたように、賞は得点ではなく推薦で決めるということでしたが、そちらの方でも予想以上に差が出ず、横並びになってしまいました。
以上の結果から、グランプリは該当作品無しとさせて頂きました。
○賞
次に入賞ですが、審査員の方々の賞の推薦数をみると、「放課後決闘クラブ」がトップです。
本作品は、採点の方では5位に過ぎません。つまり、絶賛する方が多い中、一部の審査員からはこき下ろされたという訳です。実際、満点の「10」を付ける方もいれば、本審査に残った作品の中で最低点を付ける方もいるというぐらい賛否が分かれました。
同様に、「nakedyouth」も採点4位から推薦数2位に浮上し、極端に賛否が分かれました。絶賛される審査員の中には、「これ以外の作品がグランプリを取るなんて、絶対に許さん!」とまで言わしめました。
とはいっても、「49」も同点2位で、要するに上位3作品はほとんど差がありませんでした。
○佳作・入選
推薦数において、「空想少女」と「おはなしの花」が次点ということで、佳作に選びました。
とはいっても、入選の中には複数の審査員が推薦する作品もあり、おしなべて僅差だったといえます。いや、審査員の評価も人によって全然異なりましたから、賛否両論、見る人によって評価が極端に違う作品が多いとも言えます。